金継ぎの請け負い仕事を始めて10年以上経ちますが、以前に比べて広く認知されるようになったと感じます。やってみたいと反応をいただいたり、割れた部分が美しく再生されているということに、海外からも注目が集まっています。
金継ぎというとやはり金を施したものというイメージが浮かびますよね
ですがこのところの金属の高騰で、蒔絵用の金粉が15年前と比べて約4倍。。
小さな欠けでも、うつわの値段の何倍にもなるほど、金や銀はほんとうに高価になりました。
ご依頼で金を使った仕上げの見積もりを提案するときは、なんとも申し訳ない気持ちになりますし、作業費を下げて調整したりするときもあります。ですので金仕上げ以外の提案もします。
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令和5年横浜芝山漆器展が9月12日から18日まで開催され、多くの方のお越しいただきました。初日は関係者のみならず、毎回作品を楽しみにしてくださる方で大変混雑しましたが、2日目以降は比較的ゆっくりと先生の作品を見ていただけました。会場の岩崎博物館は風光明媚な横浜山手地区にあり、建物は近年の建築とはいえ雰囲気があるので、観光中の暑さ凌ぎでふらりと立ち寄られる方にも横浜芝山細工のことを知っていただくよい機会となっているようです。

お知らせなどなど

2023年08月01日

金継ぎの教室には多くの方のお申込みをいただいて、お陰様でお伺いする場所も増えましたが、ようやくお顔と直しているうつわが一致するようになりました。うるし直しは時間がかかる上に、ややもするとかぶれることがあるので上っ張りを着たり、手袋を装着したりと手間もかかりますが、壊れてしまった愛着あるものを再び使えるように、直し整えて行く過程を楽しんでおられる様子に、講師としてご縁いただいたことをとてもうれしく感じています。

引越しでうつわが箱の中で割れていたり、新生活の疲れから手を滑らせてつい落としてしまった経験をされたことがある方は少なくないと思います。捨てるしかなかったものが 「金継ぎ」で修理して再び使えることで(直るということを知っていることで)、胸の痛みや落胆が少し軽減されますし、割った相手に怒らずに済むというメリットもあります。自分で直すという選択肢もそのうちに出てくるかもしれません。

ご縁をいただき、東急東横線学芸大学駅から徒歩5分ほどの「インヤンレスト」さんにて、5月14日(日)より毎月第2日曜日に金継ぎ教室が始まります。(画像はインヤンレストさんHPより)

オーナーの趙秀晋(チョウ・スジン)さんが、お付き合いある骨董商から集められた李朝家具や韓国骨董品、韓国民画家・池貴巳子先生の作品、チョガッポなどが美しいギャラリーにて、自家製のお菓子と薬膳茶付き、2時間の講座です。

ご都合の良い時に参加していただく形式ですが、一つのうつわが完成するまで、状態にもよりますが5〜6回以上の出席が必要です。直し途中のうつわはギャラリーで保管していただけます。

詳しくはインヤンレストさんHP、山鳥の金継ぎ教室ページに掲載しています。

3月の自宅教室

2023年03月30日

3月に予約いただいた自宅レッスンが無事完了しました。お越しくださった皆さまありがとうございました。講座中は個々にお伝えすることに集中して、気づけば終わりの時間になってること多々ですが、少し時間が取れたタイミングで何人かお手元を撮らせていただきました。

錆漆(さびうるし)

2023年03月03日

錆漆(さびうるし)は主に欠けている部分を埋めるときに使うペースト状のパテです。目分量なので講座の最初は戸惑われるのですが、繰り返し作ることで自然と覚えておられます。とはいえ暫く離れると記憶があいまいになるので(私の着付けも同じく)、参考のために水で練った状態から漆を混ぜて仕上がりまで、順に追って画像を並べてみます。作る量はあまり多いと使い切るまでに固まってしまいますし、少ないと水分の調節が難しいので砥粉は小さじ1/3くらいがよいかと思います。

金継ぎに使われる金紛は消粉とよばれる箔を細かく砕いたものと、丸粉と言ってほぼ球体に近いものがあります。消粉は研ぎをせずに蒔き放ちという仕上げをするので控えめな艶になりますが、丸粉は固めたのち研ぎをして断面を最大限に出すので金属の光沢が強くでます。