金継ぎ展「継ぐこと 暮らすこと」を終えて

うつわ継ぎ山鳥 金継ぎ展「継ぐこと 暮らすこと」(8月22日(土)〜9月4日(金)於:Atelier Ninon)が終了しました。
まさに季節の変わり目、暑さや大雨の中、会場までお運びくださった皆さま、遠くから気にかけてくださった皆さま、ありがとうございました。
繕いのうつわを手に取り、これからの暮らしの中で使うものとして選んでくださったことも、とても嬉しく思っています。
そして今回も展示の機会をくださり、準備から会期中まで支えてくださったAtelier Ninonの皆さまに、心より感謝いたします。
Atelier Ninonでの金継ぎ展は、2025年春の「日常に息づく漆の繕い」に続いて二回目となりました。
前回は、普段自宅で使っている、蒔きのない繕いを中心に展示しました。金継ぎを、直したところを鑑賞するためだけのものではなく、直したあと再び暮らしへ戻っていくものとして見ていただきたい。その思いから始めた展示でした。
今回は、そのテーマをもう少し先へ進め、直して使うことから、その先に続く漆の手仕事までを、一つの流れとしてご覧いただけるようにしました。
そこで、前回と同じく普段自宅で使っている蒔きのない繕いに加え、修繕に使う道具や工程のわかる修繕途中のうつわ、木製品を仕立て直したもの、余った材料を生かして紙から漆器に仕立てたもの、漆の小作品などを、流れが見えるように並べました。
うつわが割れたり欠けたりしたとき、「直して、また使いたい」と思う。
私にとって金継ぎは、まずそこから始まるものです。
そして本漆を使って直していると、漆という素材そのものに触れることになります。
塗る、研ぐ、蒔く。
それぞれの工程の向こうには、ずっと長く続いてきた漆の手仕事があります。
金継ぎだけを切り離して見せるのではなく、暮らしの中の小さな修繕から、その先にある漆の仕事へ少しずつ視線がつながっていくような展示にしたいと考えました。
会場を見てくださった方から「見やすい」という言葉を何度かいただきました。さまざまなものを一緒に並べながらも、一つの流れとして受け取っていただけたのなら嬉しく思います。
今回の金繕いには、本金の金丸粉を蒔いて仕上げたものも多く並べました。
写真ではなかなか伝わらない金の粒子や、磨いた本金のやわらかな煌めきがあります。実際にうつわを手に取って見ていただくことも、展示だからこそできることの一つでした。

そしてAtelier Ninonには、ネイティブアメリカンのシルバーやヨーロッパのヴィンテージアクセサリーなど、さまざまな土地と時代を経てきたものが並んでいます。

お手元用にと用意したうつわの中には、それらと同じ時代に生まれたものもありました。
生まれた場所も用途も違うものが、長い時間を経て、今、同じ場所にある。
その取り合わせも、今回の展示をつくってくれたものの一つだったと思います。
漆に関わる仕事を支えていくことと、生活する人と漆との接点をなくさないこと。そのどちらも大切なのではないかと考えています。
うつわを直して、また使いたい。
そのために本漆に触れ、漆という素材を知る。
そこから漆器や漆芸へ関心が広がっていく。
金継ぎは、生活と漆をつなぐ橋になれると思っています。
その先には、漆を育て、掻き、精製する仕事があります。私自身、まだ産地や漆掻きの現場を訪ねたことがありません。知識としてだけでなく、自分の目でその仕事を見てみたいと思うようになりました。来年は実際にその土地を訪ね、自分の目で仕事を見ながら、漆についてもう少し学びを深めたいと思っています。
一年半前の「日常に息づく漆の繕い」から、今回の「継ぐこと 暮らすこと」へ。
回数はまだ二回ですが、同じテーマを追いながら、少しずつ見える範囲が広がってきました。
これからの展示でもうつわの修繕を起点に、暮らしの中の漆、その先の手仕事へと視線がつながる場をつくっていきたいと思います。
実りある二週間となりました。本当にありがとうございました。