漆で繕う・日常を紡ぐ


1|繕う  漆でなおし、日常へ戻す

2|選ぶ  どこで止め、何と長く暮らすか

3|繋ぐ  使い続け、漆と工芸を次へ繋ぐ

山鳥の金継ぎ

金継ぎは、漆を使って壊れた器を繕い、再び使えるようにする修繕技法です。

うつわ継ぎ山鳥では、金継ぎを暮らしの中で器を使い続けるための修繕と考え、「実用の美」を大切にしています。

器の傷や欠けに向き合うときは、破損したところだけでなく、使い込まれた器の状態や表情をよく見ます。

使ううちに生まれた質感や色あい、色褪せや擦れといった経年の痕跡も、その器が重ねてきた時間の一部です。

すべてを新しく整えるのではなく、もとの佇まいを損なわないよう、必要な手だけを加えていきます。

長く使うために、漆で繕う

山鳥では、修繕の材料に天然の漆を用います。

伝統的な技法だからというだけではありません。直した器を再び日常で、長く使い続けられるようにするためです。

破損の状態や器の素材、用途に応じて工程を組み立て、実用に十分な強度を持たせます。

どこを補い、どこに手を加えないか

金や銀をどこまで見せるか。傷をどこまで整えるか。使い込まれた跡をどこまで残すか。

修繕では、直すことと同じように、どこで手を止めるかも大切だと考えています。

その判断にはいつも美意識の活かしどころがあります。

作為を避け、直したところだけが目立つのではなく、器本来の魅力が自然に立ち上がるように。

繰り返す日常の中で、器が特別なものになりすぎず、再び普段の道具として使われることを大切にしています。

用いることが、手仕事を支える

金継ぎを通して育つのは、器を直す技術だけではありません。素材や作り、時間と共に変化する姿に目を向け、手をかけて使いたいものを自分で選ぶ感覚です。その選択が、漆や工芸の手仕事を暮らしの中で使い続け、次へ繋ぐことにもなると考えています。