ハーブチンキと5月6月の教室一コマ

梅雨に入り、湿度の高い日が続いています。
5月と6月の大きな違いは湿気ですね。季節が進んだことで、漆仕事が一気に捗ります。
ただ、かぶれやすくなるのもこの季節です。気温・湿度が上がり、薄着で肌の露出も増えるので、作業の際は、手袋や長袖の上っ張り、アームカバーなどで肌を覆いましょう。あわせて、クリームを薄く塗っておくと、万が一付着したときに漆が定着しにくくなります。
グリセリンカリ液にアロマオイルを数滴加えた弱アルカリ性の化粧水を、作業の前後に塗っておくと肌を守ってくれるのでおすすめです。
またかぶれてしまった場合は、藤(かずら)漆工房の佐藤聡恵さんから効くと教えていただいたローズマリーチンキがおすすめです。

(買い物の道すがら、道路わきに勢いよく茂っていたローズマリー)
【作り方】
材料:ローズマリー/無水エタノール(またはウォッカなど度数の高いアルコール)
清潔な空き瓶にローズマリーを瓶いっぱいに詰め、ひたひたになるくらいまでエタノールを注ぎます。1週間ほど寝かせて、完成。(注:火気を避ける・冷暗所で保管する)
仕込みたては、ローズマリーの緑をそのまま溶かしたような澄んだグリーンで、お子さんと一緒に実験気分で作ってみても面白いです。我が家で昨年仕込んだものは、今ではすっかり茶色になりました。
一時期話題になったドクダミの花のチンキと同様、虫刺されやあせもに効きますが、漆かぶれの痒みを和らげる働きもありますので、ぜひお試しください。(アルコールに弱い方、チンキが初めての方やお肌の敏感な方は、念のためパッチテストをしてくださいね)
そして教室は、ご自身の直したいものを中心にそれぞれ取り組んでいただいています
マダレーナカフェ教室
お祖父様のお茶杓の修理

節から手元寄りの部分が少し裂けてしまったので、ささくれた箇所に生漆を含浸してから、濡らして小さくちぎった和紙を巻きつけ、硬化したのち和紙に漆を刷り込む方法に。お抹茶を掬うほどの用途であれば、このくらいの補強で十分もちますし、節より目立つこともありません。
自由が丘教室
ティーポットのひび割れの修理

イギリス・ミントンの大ぶりなティーポットの下方に入ったひびに、漆を含浸して割れの広がりを止めています。
漆をひびに沿って塗ると、毛細管現象で漆が割れた箇所に広がり、硬化することで水漏れが止まります。ひびの深さに応じて、同じ作業を数度繰り返します。
花入れの修理

オーストラリアにお住まいだったときに購入された小ぶりの花入れ。割れてから10年以上、処分できずにずっとお持ちだったそうです。残っていたかけらのうち、隣り合わせに接合できるものを接着しました。

線の太さ、バランスが気になると上達してきた証拠です
アトリエニノン教室

最近は、漆器を修理する方が増えています。
お身内からお預かりした大きなお盆や、ご自身で少しずつ集められた昭和初期の蓋つき椀など。それぞれ材料も塗りも違うので、補う材料や手順も一点ずつ変わります。その都度、こちらもぐるぐると思考を巡らせます。

古いお食い初め用の塗り物
骨董市で手頃に求められたお食い初めの器は、見込みや縁の塗りが浮いていて、半分近くをカッターで剥がすところからのスタート。生漆を含浸し、段差は錆を塗っては研ぎ、ある程度埋まったところで全体を赤漆で拭きました。 職人の仕上がりとはいきませんが、ご自身で工程を楽しんで進めてくださっていたので、完成したときはこちらまで嬉しくなりました。
自宅教室
本金蒔きの一コマ

自宅教室では、本金を蒔く際のアドバイスを行なっています。(外部の場合は消し金のみ)
小さな欠けでも、蒔いたときに粉が均一に乗るためのベース作りには数ヶ月かかります。
それゆえ、仕上がったときの高揚感はひとしお。ほんの小さな金でも、確かな存在感があります。
そして6月は、ご縁が重なって、クロワッサンと、一田憲子さんのwebに掲載していただきました。
金継ぎを生活の中でどう位置づけているか、あらためて言葉にする機会をいただき、とても良い記念になりました。自分では当たり前と思っていたことも、外からの目で客観的に言葉にしてもらうことで、伝えたいことの輪郭がいっそうはっきりしてきたように思います。
よろしければ、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。