漆で繕う、日常を紡ぐ
金継ぎとは、漆を使って壊れた器を繕い、再び使えるようにする日本の伝統技法です。
うつわ継ぎ山鳥の金継ぎは、暮らしに馴染む「実用の美」を大切にしています。
器の傷や欠けに向き合うとき、目指すのは、もとの佇まいを損なわず再び日常で使えることです。
平凡に見える日常の生活が自分の仕事の場であり、その中で使われてきた器の状態や表情をよく観察しながら、必要な手を、必要なだけ加えていくことが仕事の軸となっています。
見た目の美しさや華やかさを優先するのではなく、使い込まれた中に生まれた質感や色あいを活かすこと
色褪せや擦れといった経年の痕跡を、劣化ではなく器の歩みとして受け止めること
それは、器を長く使い続けるために欠かせない視点だと考えています。
どこを補い、どこに手を加えないか。
その判断には、いつも「自分なりの美意識の活かしどころ」があります。
作為を避け、うつわ本来の魅力が自然に立ち上がることを目指して作業を進めています。