初心者クラス4回目(最終回)とステップアップクラスのご案内

2021年05月04日

4月22日の初心者クラス全4回の最終日は少し肌寒くもスッキリとしたお天気になりました。季節が進み新緑がいきいきとしています。


前回までは下地の仕事でした。今回はいよいよ仕上げに入ります。2週間毎に4回と短い限られた時間なので完全な形成とはなりませんが、表面を丁寧に研ぎ、できるだけ凹凸を減らすことで蒔きが映える状態にします。「凸凹をへらす」「つるっとした状態にする」と説明しているのですが、なれるまでは少し分かりづらいかもしれません。とはいえ皆さん初めて漆を扱ってから4回目で気持ちよく使える状態になっています!

錆漆で埋めた部分を指腹で撫でて、どこにも角がなくなったら仕上げの漆を塗り、いよいよ蒔き作業です。うつわの修理全般を一般的に金継ぎと称していますが、漆を使って修復した部分に上から金などの金属粉を蒔き、破損部分を装飾して美しく見せることに焦点をあてた名称なので、ここまではとても地道な作業です。最後に行う蒔き作業までの道のりが長い分、一番華やかで盛り上がる時間です。


講座では金色は真鍮、銀色は錫粉を使っています。うつわの色や素材、傷の大きさでどのような仕上がりが似合うかなど考えて使い分けをすることもあります。

真鍮は軽いので蒔き作業の間あたりにふわふわと舞って少し幻想的ですが、他の漆塗り部分につかないようにそっと作業を進めます。またタイミングも早めにして塗った漆と密着させます。錫は真鍮ほどではありませんがこちらも同じく早いタイミングで蒔きます。 今回はありませんでしたが、漆塗り仕上げも素朴で飽きないので似合うものがあればぜひ試してみてください。
 
画像は撮れなかったのですが、このあとに拭き漆スプーンの仕上げ作業を行いました。塗った後そのまま硬化させて、使えるのはひと月後です。全部で3回拭きましたが使えるようになる頃にはしっとりとした色に仕上がって、時間と共に少し漆が透けて明るくなります。使い捨てのものでも漆で美しく丈夫に長く使えるようになるので、他の木製品に応用しても楽しいです。


予定の工程がすべて完了して、蒔いた粉の余分をすこし掃除して完了です。蒔いた部分はまだまだ触れないように、漆が乾くまでこのまま硬化させたのち一度水洗いしてから使えるよになります。


全てが完了してから恒例の撮影会です。同じ机で作業していても、他の方の修理は意外と見ていないもの。これまでずっとご自分の作業に集中していたので並べて俯瞰すると、直しもそれぞれの個性が出ていることがわかります。

照明が当たって一番きれいに見える位置から写して、さながら晴れ舞台を激写する保護者の気持ちというところでしょうか。直して使えるよになると愛おしさもひとしおです。


これで初心者クラスの日程は終了しましたが参加された皆さんはそのままステップアップクラスを受講ご希望とのことで、引き続きどうぞよろしくお願いいたします!

また見学もできますのでご興味ございましたらぜひお越しくださいませ。

尚、ステップアップクラスにつきましては今回土曜日コースのみとなります。変更がある場合HPまたはInstagram他SNSにてお知らせいたします。
詳しくはこちらをご参照ください