ステップアップクラス最終回

2021年02月02日
初心者クラスから数えると約半年続いた皆さんとの顔合わせもいよいよ最終回になりました。木曜日は冬らしい曇天と寒さでしたが、それでも季節は少しずつ春に向かっていてギャラリー前の木蓮はつぼみがしっかり見えるほどの大きさに育っています。春本番に咲く紫の大きな花が待ち遠しい。
会場は先々週から始まった益子の菅谷太良さんの個展と新しく始まったペルシャ絨毯の会に。ここで美しい展示を拝見するのも皆さんと一緒に楽しみにしていました。


 最終回となる6回目は蒔いた金属粉の固め作業ですが、錫や真鍮なのでコーティングを施すという意味での作業をしていただいてます。蒔絵は本来丸粉という精製された金や銀を使い、粉固めのあと研磨をして板のようにも見える光沢を出すのですが、製法が違う錫や真鍮あるいは消粉は強く研磨が出来ないので薄めに希釈した生漆を使い、少し磨くことで艶が出るようにしています。なくても金継ぎ修理としては成立しますが、蒔きを丈夫にするためにひと手間かけるとよいかなと思います。



全6回の講座時間だけで作業した場合、最後まで成形が完了するのは数個ほどです。それでも一つ完成させれば応用が出来るので追加などあればお持ちいただいていますが、ご友人の頼まれものや新たな修理品など皆さんの持ち込まれる器が毎回増えていくのを頼もしく感じながら拝見していました。

粉固めの作業は短時間なので、その後は追加したうつわの修理に付随して他の作業も時間最後まで。復習がてら何度も麦漆や錆漆を作ったり、初心者クラスでは気づかなかった部分の仕上がりレベルの探求など、ステップアップクラスの目的が自然と達成された形になりました。

土曜日は清々しい晴れ。バスの中から見る里山の季節のうつろいを眺めるのが楽しみです。

木曜と同じく粉固め作業を行いました。預かりものを仕上げられた方、塗りものやご両親の代から長く愛用しているものを修理されてる方、古いものを丁寧に直された方など、お持ちになった修理のバリエーションが個々様々で、漏れのないよう説明に没頭していたためほぼ画像をとることが出来ず残念過ぎました。

どちらのクラスも習得していただいた作業のこれからの展開や応用、普段自分の生活のなかで実践していることを中心に説明して、約半年にわたる講座が終了しました。かぶれという少々厄介なマイナス面もあるので一度経験すると怖くなってしまわないか懸念しましたが、漆を使う金継ぎのハードルが思っていたほどは高くなかった、漆の楽しさを味わえた、一緒に集まって同じ時間を過ごすことをとても楽しみにしていた等、前向きの感想をいただき少しほっとしています。 
生活の小さな楽しみや日常の質を一段あげるためのお役に立てればと思っていますのでフォローアップクラスなども是非お越しください。またお会いできますように!

受講してくださったみなまさま、会場のコンディションをいつも整えてくださった寺家スタジオスタッフの皆様、この度も誠にありがとうございました。

春からの初心者クラスも新しく始まりますので、ご興味ございましたらお問い合わせくださいませ。