金継ぎステップアップクラス 4・5回目

2020年09月05日

(ステップアップクラス後半始まりは「椅子展」の中で)


前回乗せた錆漆が硬化し、はみ出した部分を掃除していきます。根気が必要な作業です。途中コロナ禍の影響を受け再開まで間が空いたことで湿度と気温がとても高い時期に生漆をたくさん使う作業が重なり、人によっては肌のトラブルが多くなってしまったのが悩ましくもありました。引き続き情報も収集していきます。

ひたすら地味な作業の繰り返し、華やかな変化もないのでゴールがとても遠くに感じますが、丁寧に埋めることは仕上がりの美しさに直結するので退屈さをぐっとこらえて黙々と作業を進めます。きれいに欠損が埋まったら地固めの作業へ。硬化した錆漆に生漆を塗って下地を作ります。


錆漆の工程はきれいに仕上げるために一番時間をかけるところですが、単純且つ回数が必要なので途中で引き上げてしまいたくなることもあります。ここできれいに盛っておくと仕上がりが全く変わってきます。木製品の拭き漆の作業を挟んだり、道具の手入れをしたりと上手に気分転換の時間を繰り回していくのもよいかもしれません。 

繰り返し作業で漆の成分がミルフィーユのように層になっているので時間とともに底から深い艶が生じ、経年変化で美しくなっていくのが漆の本質です。少しずつ作業をする意味もこの部分につながると思います。 


ここを抜けると金継ぎらしい作業に入ります。 

埋めて地固めした所をきれいに平らに研ぎ凹凸がないようにしてから精製漆(ここで使用するのは弁柄漆と呂色漆)を薄くまんべんなく塗り、蒔き作業に入ります。 塗りはできれば複数回手をかけたいところです。

修復部分のサイズが大きくなると粉も使う量が増えるので均等に蒔けるよう払い用の毛棒の使い方がわかると便利です。真綿も毛棒の先も塗った漆に触れさせず、粉だけが行き来すること、また余分な粉を残さないように。乾いたら蒔いたそれぞれの粉が光るように砥石粉で磨きます。金属粉の粉固めをしたあとの流れは直した部分を丈夫に使うために必要な作業ですので手順とも習得していただけるとよいなと思います。


次回は9月17日が今期のスッテップアップクラス最終回となります。 また初心者クラス(9~10月)、そのあとのステップアップスラス(11~1月)の新規クラスも若干名お席がありますのでご興味ございましたら寺家スタジオさんまでお問合せください。この数年、金継ぎについては詳しい書籍も多くなりネットでも調べることができますが、実際に目で見みればなるほどとなるのも対面の強みかもしれません。 

金継ぎから生活のなかで漆を扱う機会が生まれることで、参加してくださった皆さんの暮らしに楽しい選択肢が増えていきますように。

 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。